更新日:2021/08/24 投稿日:2020/12/25
今回お話を伺った飯塚さん(仮名)は30代の営業マン。働き盛り世代として忙しく過ごすある日、いきなり体調を崩し、緊急入院することになってしまいます。
発覚したのは仕事にも支障をきたすほどの糖尿病でした。
現在は病気と向き合い、健康の大切さをかみしめる飯塚さん。仕事>健康の心当たりがあるビジネスパーソンは多いはず。自らの健康を見つめ直すいい機会として、ぜひこのインタビューを参考にしてみてください。
目次
登場人物

飯塚さん(仮名)
営業マンとして会社に従事してきたが、急に体調を崩して調べたら、糖尿病と診断され、会社も解雇されてしまう。

インタビュアー
司会進行を行うインタビュー担当者。
急に訪れた体の異変~きっかけは胸の痛み~
Q1.飯塚さんは、どのような症状で病院を受診されたのでしょうか。


はい、去年の夏頃に急に胸に痛みが走り、次第に我慢ができないほど痛くなりました。
一番早く対応してくれる大規模病院を朝一番に受診しまして、内臓が炎症を起こしていたため緊急入院が決まりました。
検査により、血液中のブドウ糖が多いほど高くなるHbA1cの値が異常を示し、ここで初めて、糖尿病の疑いがあると告げられました。糖尿病の合併症で内臓に炎症が起きている可能性があるとのことです。
Q2.これまでの生活において、糖尿病の自覚症状はありましたか?


胸が痛む1カ月前くらいから首や肩、腰、特に太ももの筋肉痛がひどく、トイレが頻回になっていました。
その時は「仕事の疲れかな?」と気にしていなかったものの、医師によると糖尿病が関連している可能性があるそうです。体の調子が悪くても、すぐに医者にかかるほど健康を意識していなかったのかもしれません。
緊急入院時に備えあれば憂いなし
Q3.突然の入院宣告で、困ったことはありませんでしたか。


キャッシュレス決済が主流になっていますが、病院のテレビや冷蔵庫で使用するカードは現金決済がほとんどです。現金を持たずに病院に向かいましたが、少額の現金、3000円程度を小銭で用意しておくと便利です。
下着など着替えやタオルも数日分は用意しておけばよかったかな。PCも携帯電話も使えなかったから、テレビやラジオを視聴する際のイヤホンがあると助かりましたね。
糖尿病と診断、そして入院
Q4.入院中の検査内容とかかった費用について教えてください。


はい、まずCTスキャン、血液検査、尿検査、レントゲンを経て入院しました。
検査により糖尿病2型であると判明しました。入院翌日には糖尿病により目や腎臓などに合併症のリスクがあるとのことから、眼科検査も実施しました。
1週間くらいの検査入院でかかった費用は17万円弱ですが、高額療養費制度を申請し、自己負担額として7万円くらいに抑えられました。
それと医療費以外では食事代と衣類費で1万5千円くらいかかりましたかね。
Q5.糖尿病を患った原因について医師の見解は?


はい。
医師からは、食事ついでに甘いものを過剰に摂取し過ぎで、乱れた食生活が糖尿病発症につながったと告げられました。
私個人としては、常に仕事のストレスにさらされ、解消のために甘いものに走っていたかも知れないと感じています。
私が薬治療でやったこと
Q6.糖尿病の治療では、血糖値のコントロールに重きがおかれます。飯塚さんは薬物により治療を受けられたそうですね。


血糖を下げる働きのあるホルモンであるインスリンを注射で補う治療で、2種類の薬を用いました。1種類は朝の起床時に注射するもので、もう1種類は朝昼晩の食前プラス就寝前に4回打つタイプです。
他に症状が合った時に応じて就寝前に服用する胃薬、整腸剤、漢方薬(筋肉痛対策)も飲みました。
インスリン注射は現在も継続中です。
Q7.薬の治療でかかった費用、効果などを聞かせてください。


1カ月の薬代は約2~3000円、インスリン注射の費用は2万5000円くらいかかっています。
通院の際に血液検査や尿検査も不可欠です。その時に脱脂綿や注射針など必要なものも購入し、月に7000円くらい必要になります。
正直、注射を続けていくのはコストがかかると実感しています。ただ、筋肉痛と胸の悼み、目のかすみは軽減しました。
私が食事療法でしたこと
Q8.薬での治療と同様、食事療法も糖尿病には欠かせないとされています。どのような食事療法を実践されているのでしょうか。


まず揚げ物はNGです。コーラや炭酸水のような甘い飲料、パンなどの小麦製品、イモ類も同様に控えています。
主食であるご飯は半分にして、肉や魚などの良質なたんぱく質を含むおかず、野菜などをバランスよく摂るよう心がけています。
食費に関しては、以前よりも減っているように思います。また尿の回数も大幅に減りました。
Q9.食事療法で特に気をつけている点はありますか。


これまで暴飲暴食の生活を続けてきたので、どうしてもお腹が減ってしまうことも。
その際は、炭水化物ではなくたんぱく質や野菜などのおかずを充実させるよう指導されました。
食事療法は「いつまで」と期限が決められているのではなく、一生意識していかなければならないともいわれています。
退院後の生活~糖尿病でない方に一番伝えたいこと~
糖尿病との付き合い方
Q10.糖尿病治療において、退院後も意識して続けていることはありますか。


運動療法です。体に負担がかからない程度の散歩は続けています。
運動と食事に配慮したおかげか、4カ月で8キロの減量に成功しました。バランスの取れた食生活を維持し続けるよう気をつけてもいます。
食事も運動も、そしてインスリン注射も繰り返し続けて、習慣化するのが大切だと医師からいわれました。
糖尿病は「治す」というよりはコントロールし、付き合っていく病気です。薬代などコストもかかりますが、できることから少しずつ習慣にしていきたいと思っています。
仕事第一が招いた悲劇と新しい道
Q11.自覚できるまで糖尿病が進行してしまったのはどうしてでしょうか。


自分の健康に無頓着だったからだと思います。
そして何より、会社や仕事が最優先の生活を続けてきたことです。
Q12.病気の発覚後、仕事を含めた日常生活で変わった点はありますか。


糖尿病が発覚し、正社員としての雇用は難しいと会社に告げられてしまいました。
これまで一生懸命仕事に邁進してきたのは、何のためだったのかと虚しい気持ちになりましたね。
Q13.糖尿病を患う前と現在では、心境の変化がありましたら聞かせてください。


糖尿病は「治らない病気」と聞いていたので、とにかくショックでした。
でも、よく考えてみたら、以前からストレスも抱えていたし、心も体も限界を迎えていたのかもしれません。
症状が進む前に、仕事よりも健康を重視すべきことに気づけていたらと思っています。
会社に頼らなくても、自分のスキルを磨いてフリーランスとして生きていく道もありますから。
健康に生きてこそ、趣味や仕事が充実するのです。
仕事に追われ、自らの健康を軽視することのリスクを皆さんに伝えられたら幸いです。
ありがとうございました。
