投稿日:2020/12/01
足をもむしばむ糖尿病

糖尿病により血糖値が高い状態が続いてそのままになっていると、血管が傷ついたり、詰まったりします。結果的に血流が停滞し、全身の臓器に障害が起こります。これが糖尿病の慢性合併症です。その症状が足にまで及ぶ糖尿病足病変も合併症の1つです。足の神経機能が弱まり、血管が狭く、もろくなり潰瘍(かいよう)ができたり、組織が死んでしまう壊疽(えそ)を起こしたりします。症状が重くなれば、足の切断に繋がるケースも。
糖尿病足病変の具体的な症状、重症化しないためのケア方法や気をつけたいポイントについて解説します。
目次
糖尿病は足にどんな症状を及ぼすのか

糖尿病の影響で血糖コントロールが上手く行かない状態が続けば、糖尿病足病変という足の合併症のリスクが高まります。実際の症状を進行別に見ていきましょう。
初期
血糖値が高い状態が続くと、末梢神経にダメージを及ぼします。
高血糖状態が障害の原因となる物質を神経細胞に蓄積する結果だという説もありますが、はっきりした原因は解明されていません。
しかし末梢神経が傷つけられた結果、痺れや痛みを感じにくくなってしまいます。
これが足の神経障害です。
初期の段階では、足の指先や足の裏に痺れるような感覚があり、「ぴりぴり」「じんじん」と痛みを生じます。
ちょうど靴下を履いている部分に違和感をおぼえるのが特徴です。
冷えやむくみのような感覚が出てくる場合もあります。
中期
症状が進むと、さらに足の感覚が鈍っていきます。痛みや痺れも感じなくなってしまい、足に傷を負っても気づきにくくなります。足のケガやヤケド、靴ずれに気づかず、放置してしまいさらに悪化させてしまうのです。物に触れた感覚そのものが鈍るため、例えば画びょうやガラスの破片などの異物を踏んでも気づきにくくなります。ケガやちょっとした傷に気づかず、なおかつ治りにくい、感染症にかかりやすく化膿しやすいためにさらに重症化していく傾向にあります。
末期
高血糖状態は、体の抵抗力を弱めるため、ちょっとした傷が感染症に繋がります。それが潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)です。潰瘍は傷口が深い部分までえぐれている状態をいい、壊疽は皮膚や皮下組織などが死んでしまい、暗褐色や黒色に変色してしまう症状です。重篤な潰瘍になると治療に時間を要し、さらに壊疽が進行し広範囲にわたると足の切断を余儀なくされるケースも出てくるのです。
さらに糖尿病を長く患うと、神経障害に加え、動脈硬化などの血流障害も起こりやすくなります。動脈硬化によって足先の血管まで血液が流れにくくなり、必要な栄養や酸素がいきわたりにくくなってしまうのです。このような血流障害で先端部分の組織が死んでしまう場合も、潰瘍や壊疽を引き起こす原因となります。末期症状に至る前の早期発見と適切なケアによって、足の切断に至らずに進行を食い止めることが重要です。足に少しでも異変を感じたら、すぐに受診し、医師の診断を仰ぎましょう。
糖尿病と足に関するよくあるご質問
Q.足の裏の紫っぽくなっているのはどういった事が推測されますか

足の血管が狭くなったり、詰まったりして十分な血流が維持できない閉塞性動脈硬化症(ASO)の可能性が考えられます。長く糖尿病を患っていると、全身の血流に障害が生じ、動脈硬化が起こります。心臓や脳の血管において動脈硬化が進むと、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクに繋がるのはよく知られていますが、足(下肢)においても同様です。動脈硬化により血流障害が進行すると、痛みを伴う歩行障害を起こし、さらに症状が進むと皮膚が紫色に変色し、重症化すると足の先が壊死してしまう場合もあります。
Q.初期症状の足の痺れなどが出た場合必ず悪化して壊死などに結びつくのでしょうか
神経障害による足の痺れや痛みは、糖尿病に罹患してから早い段階でではじめる症状です。おおよそ5~10年の間に出現します。この段階で症状に気づき、適切な血糖コントロールを維持できれば症状の進行を抑えられます。その他、足のお手入れや靴の選び方や日常生活における注意点に関してのアドバイスも得られますので、できる限り早めに病院を受診するよう心がけましょう。
あなたの足は大丈夫?!~足のリスクをセルフチェック~

糖尿病で起こる確率が高いとして知られているのが、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害の3つの合併症です。合併症は進行すれば日常生活にさまざまな支障をもたらし、生活の質(QOL)と寿命にも大きな影響を及ぼします。しかし早期から適切な治療を行い、血糖値をコントロールできれば予防もできるのです。糖尿病の合併症について、詳しくはこちらもご覧ください。
ただ、糖尿病神経障害には、糖尿病網膜症や糖尿病腎症のようにリスクに繋がる指標もなく、足の診察が困難であることも早期発見を難しくしてきました。そこで足の診察率向上のために足病変治療に関わる医師が中心となった一般社団法人ActAgainstAmputationによる「AAAスコアシート」(参考:https://aaa-amputation.net/aaa_score/)が作られました。それぞれの項目をチェックするだけで、専門家ではなく、患者自らが足病変リスクを評価が可能です。
足に生じる症状への対処法

まずは自分の足をじっくり観察してみましょう。足の裏や指の間、かかとを中心に足のトラブルが発生していないかを確認します。皮膚がむけていたり、赤くなったりしていないかどうか、腫れや傷の有無を丁寧に見極めます。
傷口は消毒し、ガーゼや絆創膏などで保護します。皮膚の乾燥やひび割れは、保湿クリームで保湿します。皮向けがある場合、水虫など皮膚疾患の可能性もありますので、皮膚科に相談しましょう。
セルフケア

繰り返しになりますが、自分の足の状態を熟知しておく必要があります。その上で足を清潔に保つよう注力しましょう。足が汚れていると、細菌が繁殖し、感染症のリスクに繋がります。足の裏や指の間まで丁寧に洗いましょう。
次のような足のトラブルには特に注意が必要です。
- うおの目やたこ
- かかとのひび割れ
- 靴ずれ等の外傷
- 外反母趾やシャルコー足等の骨の変形
なお、洗った後は清潔なタオルで拭き取ります。洗う時の水温にも注意が必要です。糖尿病ではちょっとした傷やヤケドが重症化する危険があるからです。同じ理由から、湯たんぽやカイロ、こたつ等による低温ヤケドにも配慮しましょう。就寝時に使用するのは控えましょう。
靴下は必ず履き、足に合った靴選びにも気をつけたいものです。
病院での治療
糖尿病を患っている場合、一見、軽いトラブルであっても重症化するおそれがあります。少しでも心配な症状であれば、病院で相談してみましょう。
また、赤みや腫れがある、痛みや熱を持つような感覚(熱感)、ジクジクした透明の液体が出ている(滲出液)、出血がある場合は特に注意が必要です。自己診断せず、早急に医師の指示を受けるようにします。
早期発見・治療が最も重要です

足の壊疽や切断は、糖尿病の合併症がかなり進行した状態です。その段階に至るまでに、症状を早期に発見し、適切な治療を行えば糖尿病足病変を予防し、進行を抑えられるのです。AAAスコアでチェックした点数が高かったり、足の異常を感じたりしているなら、まずは医療機関を受診することが先決です。生活習慣を改善するためにも、まずは医師に相談してみましょう。

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